57年と少々を生きてきたこの人生のなかで、いちばん回数多く観てきたのは誰のライヴだろう? ふとそんなことを思ったのだが、考えてみるまでもなかった。答えはDIR EN GREYである。
正直、年間何本のライヴに通ったかについては自分のフットワークを把握するうえでもカウントしているのだが(ちなみに今年は現在のところ41本)、誰のライヴを通算何本観てきたかなんて数えてい(られ)ない。ただ、当然ながら大好きな海外アーティスト以上に、国内で長くコンスタントに活動していて自分自身も長く取材させてもらっている人たちのステージを観ている回数が多いのは間違いないし、そうした条件を誰よりも満たすのがDIR EN GREYなのだ。
数年前、これまで何回くらい彼らのライヴを観てきたのかと問われ「わかんなけど100回以上は間違いないんじゃない?」などとろくに考えもせず答えていたのだが、そのときに自分でも気になって数えてみたら、すでに200回を超えていた。そして今現在では、おそらく250回を超えているはずだ。
4月18日と19日の両日、このバンドにとっての新たな時間の流れの幕開けとなりそうな最新ツアー『真世界』の東京公演を新木場STUDIO COASTで観た。あくまでDIR EN GREY然としているのに、これまでには観たことのないDIR EN GREYのライヴがそこでは繰り広げられていた。
結局、そういうことなのだ。「何度も観て飽きないの?」に対する答えは「全然!」。機会を重ねていくたびに新たな刺激があり、発見があり、自分自身の価値観との距離感にも変化が生じ、常に「次はどうなるんだろう?」と思わせてくれるバンド。それが僕にとってのDIR EN GREYなのだ。今回のツアーは、あっという間に終わってしまう。見逃しそうになっている人は、なんとかしたほうがいい。今のDIR EN GREYは、今しか味わうことができないものだから。
今後、DIR EN GREY以上に多くの回数を観ることになるバンドは果たして出現するのだろうか? ちょっと想像しにくいところだが、これから出会う人たちのなかに、もしかしたら……?
DIR EN GREYは〈新木場STUDIO COASTで誰よりも回数多くライヴを行なってきたバンド〉だったりもする。この看板の写真、何度撮ってきたことだろう。今にして思えば、毎回撮っておくべきだったかも。
増田勇一のmassive music life
いつのまにか還暦を過ぎてしまった音楽系モノカキの、 あまりにも音楽的だったり、案外そうでもなかったりする 日々。
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