ロンドン滞在記:第8日(3月27日)

というわけで、ここまでの7日分の記事はすべて該当日の翌日、ロンドン滞在中に書いていたのだが、こちらについては都合により帰国後の3月31日に書いている。

この日はいわばオフ。今回の旅程全体がオフだったともいえるのだが、取材も打合せも記事にする前提でのライヴ観覧もない唯一の日となった。本当はこの日のうちに帰国の途に就くことも可能ではあったのだが、ライヴを終えて深夜に宿に戻ってきて、そのまま翌日の早朝に出発というのは、あまりにしんどいし味気ない。せっかくフリーランスで、日程を自分で決められる立場にあるのだから、1日ぐらいは完全に自由な日を設けたいと考えたのだった。

ただ、だからといって観光名所をあちこち訪れるというわけでもなく、午前中のうちから向かったのはソーホー地区にあるレコード・ショップ。かつてオックスフォード・ストリートにはHMVとヴァージン・メガストアの大型店舗があり、80年代末や90年代前半、出張の機会がいちばん多かった時期には、ロンドンに到着するとすぐさまそこに足を運んでいたものだが、どちらの店もとうに姿を消している。かつてそうした店には「新着Tシャツ」の売り場もあり、MANIC STREET PREACHERSやNED’S ATOMIC DUSTBIN、WONDER STUFFやJAMESなどのTシャツを購入したものだ。

しかし今でもやはり、そこがどこの街だろうとレコード・ショップは落ち着く。何を購入したかについては書かずにおくが(べつにさほどレアなものや高価なものは買っていない)、なんだかあの雰囲気が自分を通常モードにリセットしてくれるようなところがある。書店もそうだし、ある意味、ライヴハウスやパブにもそういうところがあるのだけど。

今回訪ねたのはRECKLESS RECORDSとSISTER RAYの2店。ソーホー地区の同じ通りで向かい合うように営業している。どちらも平日の午前中ながら、そこそこの賑わいだった。


正午過ぎから雨になり、一時的には結構な降りになったが、朝のうち好天だったのでこの日は傘を持参しておらず、あちこちで雨宿りをしながらホテルに一時帰還。そして雨脚が弱くなってきたところで昼食に出掛けた。ロンドン滞在中の最後のランチには、2日目に続いてフィッシュ&チップスをセレクト。ただ、パブではなく一度はちゃんと専門店で食べてみたいと考えていたところ、ちょうど同じ界隈にシーフード・レストランがあったので、そちらに出掛けてみた。

さすが専門店だなと思わされたのは、魚の種類を選べることろ。とはいえ違いが詳しくわかるわけではないから、通常このメニューに使用されるコッド(タラの一種)の普通サイズを選んだのだが、案の定、巨大な魚と山盛りのポテトが出てきた。サイドメニューとか頼まずにおいて良かった。しかも食事途中に「チップスのおかわりはいかが?」ときたもんだ。日本の一部のとんかつ屋で「キャベツのおかわり自由」だったりするのと同じことなのかもしれないが、胃もたれを解消してくれそうなキャベツの千切りと、揚げた芋はむしろ真逆なものだと思う。しかし肝心の魚はとても美味しかった。ほくほく、ほろほろ、しかも衣はあくまで軽やかでさっくり。シンプルな料理だからこそ鮮度や技術の差も出るところがあるのだろうな。というわけで、そこそこの値段ではあったがかなり満足できた。

さほど大きく見えないかもしれないが、ビールは普通のコップではなく1パイントなので、それを参考に察してください。ちなみにお店のオフィシャルサイトはこちら。

昼食後はホテルの部屋で荷物を軽くまとめ、夕方には地下鉄でカムデンタウンへと向かった。そう、オフとは言いつつも結局のところライヴを観に行くのだ。目的地はELECTRIC BALLROOMという大型ライヴハウスで、ちょうどこの日にはクリス・シフレットのUKツアー最終公演があったのだ。FOO FIGHTERSのギタリストであり、そもそもはパンク出身である彼だが、ソロ活動の場での音楽性はカントリー・ロック。トリオ編成でのシンプルな演奏形態で、軽妙なお喋りを挟みながら繰り広げられるパフォーマンスはとても心地好かったし、ビールを飲みながら観るにはぴったりだった。

ちなみに彼は最新シングルの中でTHIN LIZZYの“Cowboy Song”をカヴァーしており、この日も同楽曲をライヴ終盤で披露。それを予想というか期待していた僕がこの日に着用していたのは、オリジナルが収録されているTHIN LIZZYの「JAILBREAK」(1976年)のTシャツだった。なかにはそれを見て「わかってるじゃん」みたいな顔で親指を立ててみせる観客も数名いた。また、ステージ上のクリスも「カムデンタウンでTHIN LIZZYのTシャツを手に入れた」みたいなことを語っていた。Tシャツはロックの世界におけるコミュニケーション・ツールでもある。彼のライヴがいつか日本でも観られるといいのだけど。

ライヴ三昧の8日間を締め括ったのはクリス・シフレットだった。もちろんチケットは普通にチケットマスターで購入。


カムデンタウンを後にしてホテルの最寄り駅に着く頃には23時を過ぎていた。遅い晩飯は、近所のケバブ屋で調達。それを食いながら、荷物のパッキングを進めていった。往路には荷物が半分くらいしか詰まっていなかったスーツケースがぎっしりの状態になっていたのは、連夜のライヴでTシャツを買いまくってきたからに他ならない。そのうちいくつかはこの先、某誌の記事内などで読者プレゼントとして提供予定なのでお楽しみに♬

0コメント

  • 1000 / 1000

増田勇一のmassive music life

いつのまにか還暦を過ぎてしまった音楽系モノカキの、 あまりにも音楽的だったり、案外そうでもなかったりする 日々。