4月30日、アメリカの作家、ポール・オースターが亡くなった。77歳、肺がんの合併症だったそうだ。21世紀に入ってからは自らの人生を振り返るかのような作品が目立っていたが、それは彼自身が大病を患った経験などとも無関係ではなかった。
正直、文学的にあれこれ分析するような知識はないが、好きな作家は誰かと訊かれたら、間違いなくそのひとりとして彼の名前を挙げるだろう。もしも自分が物書きの端くれとして何かしらの影響を受けてきたとすれば、それはオースター自身よりも翻訳者である柴田元幸さんというフィルターを通過したうえでのものということになるだろうが。
そういえばかつてBURRN!の誌面では書評も編集部内で書いていたのだが、たしかオースターの作品についても書いたことがあったよなあと思いバックナンバーをひっくり返してみたら、1991年7月号で『孤独の発明』を紹介していた。改めて目を通してみると、30歳当時の自分が妙に力んで書いていたのがわかる。また読み直してみるか、ニューヨーク三部作とか。
そして本日、5月12日の朝日新聞朝刊に柴田さんによる追悼記事が掲載されていた。自分の中でもやっとしていた気持ちが、ちょっと落ち着いた気がした。改めて、冥福を祈りたい。
増田勇一のmassive music life
いつのまにか還暦を過ぎてしまった音楽系モノカキの、 あまりにも音楽的だったり、案外そうでもなかったりする 日々。
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