3月上旬の風の強い日、RED ORCAの取材をした。しかも首謀者である金子ノブアキ(ds)だけではなく、来門(vo)、PABLO(g)、葛城京太郎(b)、草間敬(manipulate)という全員集合でのインタビュー。こういう時にメンバー名をヴォーカル→ギター→ベース……みたいな順で表記してしまうのは単なる染み付いた習慣に過ぎず、それ自体に特に意味はない。そもそもは金子のソロ活動が発展していくような形で始まっているバンドであり、その過程におけるメンバーたちの登場順は金子→草間→PABLO→来門→葛城、ということになるが、3月20日に配信開始となった1stアルバム『WILD TOKYO』を聴くと、RED ORCAの最初の基本形態とでもいうべきものを決定付けたのが来門と葛城だったりすることにも気付かされる。
そして同じく20日、音楽情報サイトBARKSにそのインタビュー記事がアップされた。WEB媒体への掲載用としてはだいぶ長めで2万字近くあるのだけど、現在の5人の間に漂う空気の温度感というか〈大人の無邪気さ〉みたいなものが伝わるものになっているはずだと自負しているので、是非お読みいただければと思う。
同時に、このアルバムの全曲レビューなるものも書かせていただいた。こちらはあくまで僕自身の勝手な解釈でしかないが、『WILD TOKYO』を楽しむうえで、火に油を注ぐような役割を果たすことができたら嬉しいところだ。
ところで、5人と話していて面白いなと思ったのは、メンバー間の名前の呼び方。葛城だけがえらく若いので、当然ながら彼は他すべてのメンバーを「~さん」と呼ぶ。草間敬は他どのメンバーからも〈さん付け〉で呼ばれる。そして金子は葛城を〈京ちゃん〉とよび、草間、PABLO、来門は金子のことを〈あっくん〉と呼ぶ。RIZEのメジャー・デビュー当時から彼を取材してきた僕も、彼のことを〈あっくん〉と呼ぶ。長年にわたり使われてきた呼称の定着というのはなかなか覆しがたいもので、僕自身も場面によっては彼を〈金子さん〉と呼ぶことになるわけなのだが、なんとなくそんな時はくすぐったい感じがする。
たとえば僕自身も、10年に一度会うか会わないか、くらいの距離感の親戚のおじさん(年齢的にはお爺さん)から、59歳にもなっていまだに〈ゆうちゃん〉と呼ばれたりするし、MUSIC LIFEの大先輩である東郷かおる子さんには〈ますだっち〉と呼ばれる。僕のことを〈ますだっち〉と呼び始めたのは、たぶんn20歳の頃にバイトを始めた編集部の先輩だ。そうか、来年は還暦を迎えるばかりではなく〈ますだっち40周年〉を迎えることになるのか。
ちなみに僕のことを〈マッスー〉と呼び始めたのは、おそらくTHE SLUT BANKSの戸城憲夫先輩であるはず。以前、渡辺直美さんの番組にちょろりと出演させていただいた際、いきなり渡辺さんに「よろしくお願いします、ますだっち」と言われて驚き「な、なんでその呼び名を?」と尋ねたところ「私が知る限り、マスダさんはたいがい、ますだっち」という回答がふくよかな笑い声とともに返ってきた。そうか、これはかなり常識的な呼称だったのか。
というわけで、改めて〈あっくん〉の率いるRED ORCAのアルバム『WILD TOKYO』をお勧めしておきます。めちゃくちゃカッコいいんだから!
増田勇一のmassive music life
いつのまにか還暦を過ぎてしまった音楽系モノカキの、 あまりにも音楽的だったり、案外そうでもなかったりする 日々。
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