STONE TEMPLE PILOTS、今度こそ。

3月16日に発売されたSTONE TEMPLE PILOTSのニュー・アルバムがあまりにも素晴らしくてツボを突かれまくりで、日課のように連日繰り返し聴き続けている。 今作のタイトルは、きわめてシンプルに『STONE TEMPLE PILOTS』。考えてみれば2010年にスコット・ウェイランドの復帰を経て9年ぶりの作品として発表されたアルバムも、同様にセルフ・タイトルだった。

そもそも彼らは、あのアルバムを新たなスタート地点にするつもりでいた。当時、ギタリストのディーン・ディレオに電話インタビューをした際に、とにかく口調が喜びに満ちていたのをよく憶えている。改めて当時の記事を読み返してみると、彼は「今はすごく充実感を味わえている。すべてが噛み合った状態にあると言ったらいいかな。今回はアルバム制作のプロセス自体がとても楽しかった」と明るく語り、バンド名自体を作品の表題に掲げ、ピースサインをモチーフにしたアートワークにしたことについても「シンプルなものこそ美しい、ということを言いたかった。だからアルバム・カヴァーに余計な文字を並べることはしたくなかった。しかも今の俺は、自分たちに向けてピースサインを掲げたいような気分でもあるしね」と説明していた(発言はともにCDジャーナル誌2010年6月号に掲載された筆者自身の記事より引用)。 

しかし実際のところ、このアルバム発表後の道程は平坦なものではなかった。ワールドワイドなツアー活動をしようにも、スコットには過去の逮捕歴などから入国できない国が少なくなかったという事情もある。インタビュー時、「このアルバムを携えて、久しぶりに日本にも来てくれますよね?」と尋ねた時も、ディーンはYESと即答してはくれなかった。「だけどもちろん、それが叶うよう願っている」と言ってはいたが。 

その後、結果的にバンドはスコットを解雇。2013年にはLINKIN PARKのチェスター・ベニントンをフィーチュアした編成での『HIGH RISE』 を発表し、その年には『LOUD PARK 13』への出演のため来日も果たしている。同作には間違いなく新鮮な化学反応があったし、フロントマンを固定せずにこうしてさまざまなヴォーカリストを迎えながらその都度のケミストリーを求めるという方法論もアリなのではないか、と思えたものだ。もちろん、いつかスコット再合流して欲しいものだという希望もうっすらと抱いてはいたが。 しかしそのスコットは2015年末に他界。そして2017年の7月にはチェスターまでもが天に召されてしまった。なんて悲運なバンドなんだろう、と思わずにはいられなかった。

だが、今度こそ、STONE TEMPLE PILOTSは新たな絶頂を迎えることになるのではないだろうか。そう思えるのは当然ながら、新作がとてつもなく強力だからだ。 バンドにはジェフ・グートという新たなフロントマンが迎えられている。かつてDRY CELLというニューメタル系バンドで活動し、アメリカの人気音楽リアリティ番組『The X Factor』への出演歴もある彼の加入が報じられたのは、昨年11月のことだった。もちろん、ディーン(g)とロバート(b)のディレオ兄弟、エリック・クレッツ(ds)という演奏陣の顔ぶれは1992年のデビュー当時からまったく変わっていない。

ジェフ加入の報とともに先行公開された新曲、 “Meadow”を初めて聴いた時の衝撃は強烈だった。グリッターな感触のねばっこいリフに絡みつく艶めかしい歌声が、まるで往年のスコットのそれのように聴こえたからだ。そして今月になってようやく世に解き放たれたこの新作には、こちらの期待を裏切らないどころか超越するような旨みがある。このバンドに惹かれたことのある者なら誰もが求めるはずの作品像に忠実でありながら、確実に新鮮ーーそんな言い方をしても間違いではないはずだ。

ジェフの歌声は、彼らの過去の楽曲群とも相性が良さそうだし、ライヴではすべての時代の楽曲が違和感なく溶け合うことになるのではないかと想像できる。バンドはすでにこのアルバムの発売前からツアーを開始しているが、このアルバムの音源を聴いた時、本当に、すぐにでもアメリカに飛んでいきたいという気持ちになった。だからこそ、一夜限りの東京公演であるとはいえ、7月の来日決定が報じられた時には思わず声をあげた。これはもう、何がなんでも足を運ばねばならない。万が一もっと重要な何かと日程的に重なるようなことがあったなら、それこそパスポートを使ってでもどこかに観に行かねば、と思っている。

 STONE TEMPLE PILOTSに、もうこれ以上の悲劇は要らない。今度こそ、彼らの新たな黄金期が訪れるのだと信じていたい。そして今は何よりも、7月にここ日本で彼らの〈今〉を目撃できることを楽しみにしている。 

『STONE TEMPLE PILOTS』(2018年)

現時点において、早くも年間ベスト5確実だと思える作品。

『STONE TEMPLE PILOTS』(2010年)

このアルバムにも、埋もれて欲しくない。今からでも聴いて欲しい1枚。


◆来日公演情報はこちら⇒ https://www.creativeman.co.jp/event/stone_t_pilots18/

◆アルバム等の情報はこちら⇒ https://wmg.jp/artist/stonetemplepilots/

◆そしてバンドのオフィシャルサイトはこちら⇒ http://stonetemplepilots.com/

youmasuda's Ownd

50代半ばというよりはアラ還に近付きつつあるライター増田勇一の、音楽的だったりそうでもなかったりする日々。

0コメント

  • 1000 / 1000