35年前の5月の記憶。初渡米と巨大フェス初体験。

5月のこの時期になると、かならず思い出すことがいくつかある。まず今回は、1983年の話を。

その年の5月下旬、僕は初めてアメリカに飛んだ。カリフォルニア州サンバーナディーノで開催されていた『US FESTIVAL』を観に行くためだ。海外旅行自体もそれが初めてだったし、当然ながらパスポートを手に入れたのもその時のことだった。当時の僕はまだ一応大学生で、オリコン・ウィークリー編集部のバイト君。時給は500円未満。当然ながら取材なんかじゃないから(結果的にオリコンにちょっとした記事は書いたが)、すべて自腹だった。

このフェスは5月28日から3日間にわたって行なわれ(厳密に言えば6月4日に4日目にあたるカントリー・デイがあったが)、28日はTHE CLASH、30日はデヴィッド・ボウイがヘッドライナーだった。が、僕の最大の目当ては29日のヘヴィ・メタル・デイ。『METAL HEALTH』が出てからまだ間もない頃のQUIET RIOTをオープニング・アクトに据えながらの同日の出演ラインナップは、MÖTLEY CRÜE、OZZY OSBOURNE、JUDAS PRIEST、TRIUMPH、SCORPIONS、そしてVAN HALEN(以上、出演順)という超豪華なもの。オジーに関してはジェイク・E・リーの正式なお披露目の場がこれだったはずで、翌年に『1984』を出すことになるVAN HALENは、これがこの年唯一のライヴだった。

ライヴを観ながらメモなんかとっちゃいなかったし、小さなカメラを持参してはいたもののフェス会場での自分の写真も皆無。だからその時のことを書こうと思うと記録ではなく記憶を頼りにするしかないのだが、とにかく何もかもがデカくてすごくて驚きの連続だった。ホテルの朝食で食べたオムレツのサイズに始まり、歩けども歩けどもステージに近付かない会場の敷地の広大さも、観客の数も(当時、メタル・デイの動員は35万人と発表されていた。多分そこまでいなかったはずだけど)、MÖTLEY CRÜEの演奏のヨレヨレ具合も、日本では考えられないほど黄色い歓声を集めていたTRIUMPHの人気ぶりも。

そしてもうひとつすごかったのは交通渋滞。僕は旅行会社の企画した団体旅行(とはいえ自分を含めてわずか6人だったけど)に参加していたのだが、宿泊先のパサディナのホテルから会場までの往路は車で30分もかからないくらいだったのに、初日のトリであるTHE CLASHのライヴが24時頃に終わっり、ホテルに戻れたのは深夜というよりも明け方のことだった。ちょっとだけ眠って翌朝ふたたび会場へと向かいメタル三昧の時間を過ごし、同じように明け方にホテルへと帰還。その時点で僕はなんだかもう充分に満足してしまい、なおかつ充分過ぎるほど疲れてしまっていたので、フェス3日目はパスすることにした。というのも、その次の朝には帰国の途に就かなければならなかったのだ。3日目も観に行っていたら、僕は帰国便を逃していたかもしれない。なにしろ3日目も観に行った人たちがホテルに戻ってきたのは、翌朝、帰国組がホテルのロビーに集合した頃のことだったのだ。記憶が定かではないが、確かその3日目参加組は延泊していたのだと思う。

そんなことはどうでもいいのだが、僕がいわゆるフェスというものを初めて体験したのがこの時のことだった。それから35年もの年月が経過していることに自分でも驚かされてしまうが、あの時、思い切って渡米したことは自分にとってとても良い経験になったと思っている。

ちなみに当時の僕はまだクレジットカードなど所持しておらず(というか、まだまだ持っていない人が多かった)、すべては現金払い。飛行機は南回りのホノルル乗り継ぎ。毎週ツバキハウスで顔を合わせるような友人たちから頼まれたTシャツやパンフが大量に詰まった重い荷物を引きずりながらフェスの最初の2日間を過ごした。ライヴハウスでビールを呑みながらバンドを観たことはすでにあったはずだが、青空の下、広大な場所で、大音量で好きな音楽を楽しみながらのビールこの時が初めてだったように思う。

1983年5月。考えてみればそれは僕がBURRN!誌の創刊スタッフとして誘われることになる、ちょうど1年前のことだった。創刊がもう1年早かったならば、このフェスのレポートが同誌に掲載されていたのかもしれない。

会場で購入したパンフ。たいした内容ではないけども4ドルとは安い!

ヘヴィ・メタル・デイのタイムテーブル。豪華すぎる!

数少ないフェス会場での写真より。チケットも何故か1日目のものしか手元に残っておらず。しかしこの超豪華なフェスのチケットがたった20ドルだったとは!

この旅行時に撮られた唯一の自分の写真。何故かモノクロ。しかもここはまだ出発便待ちの日本。

youmasuda's Ownd

50代半ばというよりはアラ還に近付きつつあるライター増田勇一の、音楽的だったりそうでもなかったりする日々。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • mxlbose

    2018.05.26 14:18

    @チームいずみお話ししていないこと、まだまだありますもんね。残念ながら今のところラジオの話はないのですが、いくつか考えていること、持ち掛けられていることがあります。まずは、いろいろと話を披露させていただける時まで記憶をきっちりとどめておくよう心掛けたいと思います。
  • チームいずみ

    2018.05.26 14:03

    増田さん、今回の記事は凄かったですね。この伝説のフェスを現体験されてたなんて。このブログで知ることが出来なかったらと思うと勿体なくって仕方ありません。この他にも山程のロックの伝説をご覧になられてるんでしょう。トークイベントはそれはそれは素晴らしい機会ではあるんですけど、ラジオDJとして声でそれらのお話が聞けること、待ってるのは僕だけではないと思いますよ! (もしかしてそんな話も進んでたりして?) DJ Youmasuda待望論でした。