地獄からのカウボーイ登場から24年🔥

メタル史にひとつの変革をもたらしたというべきPANTERAの『COWBOYS FROM HELL』がアメリカで発売されたのは、1990年7月24日のこと。先日、それから24年が経過したのに合わせて何か書こうと思っていたのだが、もたもたしているうちに2日遅れになってしまった。

このアルバムは当初、日本盤がリリースされず、僕自身も輸入盤を購入していた。第一印象は「これはすごい!」ではなく「カッコいいけどちょっとビミョーかも」に近かった記憶がある。というのも『PROJECTS IN THE JUNGLE』(1984年)の頃からリアルタイムで聴いていた身としては「これがあのPANTERA?」という違和感めいたものもあったからだ。なにしろ当時の音源はVAN HALENや初期DEF LEPPARDを想起させるものだった。だからこそ同時に、フィリップ・アンセルモという「新ヴォーカリスト」がもたらした変化の大きさを感じさせられつつ「あんな感じだったバンドがこんなふうに変わっていく時代なのか?」といった想いもあった。そして聴き込んでいくうちに、結果的にはあのザクザクと切り刻むようなギターの音と、今となっては過渡期にあったといえるフィリップの歌唱にも惹かれていくようになったわけなのだが。

ちなみに彼らのインタビュー記事が初めてBURRN!に掲載されたのは、1992年4月号でのこと。つまり『COWBOYS FROM HELL』に続く『VULGAR DISPLAY OF POWER』の発売タイミングでのことだった。その取材時、彼らはSKID ROW の北米ツアーに同行していて、移動中のフィリップ・アンセルモと国際電話で話をしたのだが、当時の彼はまだ23歳。質問に対する回答の仕方がとても素っ気なく、たとえば「他のメンバーたちについて訊かせてください。レックスはどんな人ですか?」と尋ねると「痩せてて酔っぱらってる」という答えが返ってくるようなありさま。もちろん、それはそれで面白かったのだが、こちらとしては「ヤバい。こんな調子でちゃんと誌面が埋まるだろうか?」と不安になったものだ。ただ、発言自体はえらくコンパクトであるものの、訊いたことには一応何でも答えてくれるから、こちらの質問が尽きない限りはどうにかなるのだった。しかしまさかこの電話インタビューから数ヵ月後、初来日時の彼に柔道着など着せることになるとは思ってもみなかったが。

そして、このインタビューが掲載された号の表紙はDEF LEPPARDのジョー・エリオット。この年の1月下旬には『ADRENALIZE』完成直後の彼らを取材するためにロサンゼルスに飛んでいた。アルバムの音源は現地に着いた当日、取材場所に向かう前にマネージメントの担当者がホテルに届けてくれて、全体を通して一回試聴させてもらっただけ。その状態で作品のことばかりじゃなく、スティーヴ・クラーク他界のことまで訊かなければならないというのはなかなかヘヴィだった。しかも通訳無しで。そこで僕が、メンバーたちの人間性に救われたことは言うまでもない。

こちらの号ではDEF LEPPARDの巻頭記事、PANTERAのインタビューの他に、ビリー・シーン、LYNCH MOBのインタビューも担当していて、『READY 4 ACTION』のページではMANIC STREET PREACHERSについて書いていた。いやー、我ながらよく働いていたものです。


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増田勇一のmassive music life

いつのまにか還暦を過ぎてしまった音楽系モノカキの、 あまりにも音楽的だったり、案外そうでもなかったりする 日々。